医学部のCBT試験が公的化について医学生が解説!!

目次

公的化とは、どういう意味?

医学部に通うすべての4年生が受験しなければならない、CBT試験とOSCE試験

医学生として十分な知識と技能が備わっているかを、臨床実習開始前に行われる全国統一試験であり、医学部生活の中でも国家試験の次に重要と言える試験です。知識を評価するCBT、診療技能・患者さんへの態度を評価する実技試験のOSCEの2種類の試験からなります。

普段のレポートや試験だけでもストレスがかかる医学部生活がやっと終わりを迎えようとしているのに、もうすぐ臨床実習が目の前というのにも関わらず、より一層負担が重くなったCBTとOSCEが待ち構えていると考えると、医学生としては辛いものがありますよね。

この記事では「公的化になった理由」と「公的化によって変化した点」について、これからCBTやOSCEを受験する医学部生に向けて解説します。

まず、公的化ってどういう意味?

共用試験の公的化によってどのような影響があるのかについて、厚生労働省の公式HPに掲載されている医道審議会作成の資料によると、以下のとおりです。

共用試験の公的化といわゆるStudent Doctorの法的位置づけによる影響

(1)医学教育への影響・臨床実習の診療参加型化の促進につながる。

(2) 医学生(医師)個人への影響

・手技等を経験する機会が増加し、手技の比重が高い診療科に対する積極的な効果により、診療科偏在是正に対する効果が期待される。

・臨床研修における負担が一部軽減され医師の働き方改革にも資することが期待される。

(3) いわゆるStudent Doctorが診療参加型臨床実習を行う際の患者同意等

・同意を患者から得られやすくなることで、診療参加型臨床実習が促進される。

・将来的に患者理解が進んだ場合、一般的な処置について、特別な同意取得の必要なく、診療参加型実習において行うことを可能となることが望ましい。

(4) 地域における実習と地域医療への影響

・主体性を持って地域医療を体感することで、将来のキャリアに良い影響が与えられる。

・各養成課程の中で現状よりも地域に貢献することが可能となる。

 

つまり、CBTを公的化することでStudent Doctorという資格を与えられることで、医学生の一定の医行為が、医師の観察下のもとで合法的に行えるようになったということです。今までは、明文化されていなかった医学生の医行為についてを、今回、試験の公的化に伴って明文化することで医学生の臨床実習でできる内容が広がったということです。

では、公的化にともなってCBT・OSCEのそれぞれの試験でどのような変化が起きたのでしょうか?

CBTの変更点について

 今まで、CBTの合格基準というのは、各大学に基本的に一任されていました。

CBTの実施機構の一部である全国医学部長病院長会議(AJMC)からCBT最低合格基準(IRT359以上)は定められていましたが、それ以上の点数であれば、最終的な学生の合格の判断は大学側に決めることができていました。

 そのため、A大学では400点以上でCBT合格で、B大学では370点以上で合格など、それぞれの大学で合格点が異なり進級などに不公平性があることが挙げられていました。

そこで今回、全大学が統一した合格基準点を設けることにより、公平な審査を行う試験へと変わりました。2023年度から、合格基準点はIRT396と設定されています。

OSCEの変更点について

 IRTというスコアで合否が決めることのできるCBTと比較して、実技試験のOSCEに関しては合格基準が曖昧であるというのが問題でした。

 まず、合格判定に関しての規定がまずなかったため、各々の大学がそれぞれ各自で合格基準を設定していました。そして、合否の判断も、それぞれの大学の内部評価者が行なっていました。そのため、診療技能の試験にも関わらず、しっかりと技能を習得していない学生さえも合格させてしまうような大学も存在してしまう状況でした。

 加えて、公的化する前までのOSCEでは、OSCE評価項目の全10項目の課題のうちの6項目だけの実施が義務付けられていました。しかし、残りの評価項目の4項目を試験で実施するかどうかというのは各大学が決定できるようになっていました。そのため医学生の診療技能のレベルも各大学によって、ばらつきが見られるようになってしまっている状況でした。

そこで今回の公的化によって、OSCEを通して学ぶ診療技能のレベルを均一にするために、特に大きく2点変更が実施されました。

  • 合格採点に機構から認定を受けた外部評価者を入れること
  • すべての大学で評価項目の全てを実施することを義務付けること

公的化によって何が変わるのか

 公的化によって変化したことは、医師国家試験を受験資格として、この共用試験(つまりCBTとOSCE)を合格が必須となりました。

今までの先輩方の認識であれば、CBTもOSCEも、各大学の裁量によって合否を決めることができるため、『再試験で合格(救済措置)してくれるだろう』という考えがある方もいらっしゃいましたが、これからの共用試験では通用しません

『公的化』と聞くと、厳しくなったのかもしれないと感じてしまいますが、実際十分に勉強すれば合格できる試験ですので、そこまで心配はいりません。

共用試験への勉強法で不安なことがあれば、別の記事なども参考にしてください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この記事を書いた人

nana美のアバター nana美 運営者

日本の高校卒業後、単身渡米。
大学3年の時、医師を志すも、アメリカのメディカルスクールは成績不振で断念。しかし、帰国後に医学部学士編入試験を受験・合格し、現在はアラサー医学生として楽しく奮闘中。

目次