医学部学士編入のための志望動機の重要性と作成方法

学士編入受験において、多くの大学から課されることの多い『志望動機』

一人一人の受験生の「なぜ医師を志したのか」という文章一つから、医学部の試験官は受験生の人となりを知ることになります。いわば、自己アピールできる作文です。

つまり、拙い志望動機を作成・提出してしまうと、「この受験生の医学部志望度合いは、こんなものか。こんな受験生は医師になるべきではない」と試験官に判断されかねないのです。そのため、学士編入試験において、志望動機の作成というのは大変重要な作業なのです。

今回は、私が実践した学士編入試験における志望動機の作成方法について書いていきます。『自分』をしっかりと『自由に』表現できる志望動機だからこそ、最高のものを作成して、医学部合格を掴み取りましょう。

目次

志望動機の作成はできるだけ早めに取り掛かろう

簡単そうに見えて、大変なのが志望動機の型です。この『型』というのは、ほぼ全ての大学の志望動機で聞かれる内容である「医学部に入りたい理由」に対する自分なりの答えを作るということです。

自分自身の経験を活かした独自の志望動機を一本の軸として持っておくことによって、書類審査だけでなく面接試験に進んだ際にも自信を持って答えることができるようになります。

学士編入試験の出願などが始まるのは4月と仮定すると、理想としては1月までには志望動機の型を作るのがベストです。そうすることで、余裕を持って志望動機に取り掛かれるので良いのではないかと思います!

志望動機の作成はできるだけ早くに取り掛かろう。1月までに型を作っておければベスト

即席の志望動機は、読む人にはバレてしまう

志望動機を読む人というのは、100人以上の志望動機や願書の書類などをみてきた試験官であるため、時間がないまま作成したような内容の薄い志望動機は見破られてしまいます。自分が試験官にアピールできるはずの書類なのにもかかわらず、評価をしてもらえずに流されてしまうのは本当に損でしかありません。

時間に余裕を持って志望動機は作成しよう。志望動機は自分自身の鏡

ちなみに、私は、出願をギリギリに決めた大学には書類選考で落とされました。その時の反省点としては、志望動機や出願書類をギリギリに作成してしまったためだと思っています。付け焼き刃で作成されたものは、審査する側にはバレバレです。(反対に、しっかりと準備した志望動機の場合は、全ての書類審査に通っています!)

志望動機作成にはGoogle Docがオススメ

志望動機作成する際はGoogleDocなどで作成するのがお勧めです。PCだけではなく、スマホのアプリでも空き時間に少しずつ書き直しが出来るところが、時間が限られている受験期に助かりました

合格者の志望動機を読んでみよう

志望動機は、自由に受験者のバックグラウンドを表現できる書類ではありますが、読むのは試験官です。誰が読んでも理解できる読みやすい型で書くことは重要です。たくさんの学士編入合格者が投稿されている志望動機などを参考にしてみましょう。

ちなみに私も秋田大学と福井大学の志望動機を公開しています(有料)

【有料記事】私の秋田大学への志望動機

【有料記事】私の福井大学への志望動機

志望動機って何を書けばいいの?

志望動機の型を作れと言われても、正直何から取っ掛かればいいのかわかりませんよね。また、合格者の志望動機を読んでみると、「自分にはこんな経験はないから合格なんてできないかもしれない」と気持ちが萎縮してしまうかもしれません。しかし、自分らしい志望動機を作る上で大事なのは、自分という人間を知り、その経験を最大限に活かした書き方をすることが重要なのです!

「なぜ医師になりたいのか」という理由だけ書けば良いわけではない

志望動機は、「医師を志した理由」だけを書いて提出する人が多いです。正直、受験生の状態で、医師という職業に対して漠然イメージを浮かべながら志望動機を書くことが多いのではないでしょうか。しかし、私が考える医学部学士編入試験を受験する際の志望動機で最も重要なことは、『なぜ他の医療職ではなく医師でないといけないのか?』です。

他の医療職ではなぜだめなのでしょうか?

この質問は面接試験に進むと必ず聞かれると思って準備しておいた方がいい、試験官にとってのテッパン質問です。

医療に従事できる仕事というのはたくさんあります。薬剤師、看護師、理学療法士などたくさん存在します。そしてそれぞれの職種が、医療という現場でなくてはならない大切な職種です。しかし、なぜその中であなたは医師を選ぶのでしょうか?

「過去」「現在」「未来」の流れを意識しよう

  • 社会的地位や給与の高さ
  • もともと医学部を高校生の時に目指していたけれど一度諦めた
  • 医療職についてから医師になりたいと思い始めた

さまざまな本心の志望動機というのはあると思います。しかし、試験官にとって聞きたい志望動機というのは、受験生の「過去」「現在」「未来」の中に医師である必要があるのかどうかということなのです。先述した通り、志望動機とは受験者を見るための最大の判断材料です。

過去にどういう経験をして、今現在の自分の立ち位置を理解し、そこからなぜ医師である未来が見えたのか

その際には学歴や職歴、生活歴などの経歴・経験をしっかりと志望動機の中に落とし込む作業というのが重要になってきます。

志望動機の例

(概要として載せることに関しては本人たちに許可を取っています)

アメリカのメディカルスクールに進学した私の大学の先輩の場合(一部改変)

元々、獣医大学院(Vet School)志望で、大学時代、Marine Biology Major(海洋生物学専攻)で、神経伝達回路の研究とイルカの脳の構造を研究。大学三年生の時に祖母の認知症が発覚し、人の認知機能への興味と同時に、病院付属の介護施設でのボランティアを始める。緩和ケアなどの分岐した医療を知ったこと、人との会話をしながら研究をすることへの情熱が沸き、医学部(Med School)を受験した。

アメリカのメディカルスクール合格した文系(教育学)の友達の場合(一部改変)

学校での教育ボランティア、短期留学で訪れた発展途上国での小児の健康問題・公衆衛生問題にふれ、教育や政治的側面からではなく、医師として問題解決に取り組みたい。教育方法や教授方法など学んだことを生かして、子供との触れ合いを通じながら、性教育・倫理教育を同時に行い、公衆衛生の改善に努めるために医師を志した。

このような志望動機は説得力があるなと思いますし、実際に難関と言われるアメリカの医学部に合格しています。もちろん『国連などの職員でもいいのでは?』だったり『医師ではないといけない理由が不明瞭』と面接の時に言われたと本人たちも言っていましたが、自分の志望動機をしっかりと作り上げていたため、乗り切ることができたそうです。

自分のストーリーをもとにした志望動機を作ろう

先にあげたふたつの志望動機の例に共通するのは、経験談から基づいた志望動機です。

「ドキュメンタリーやニュースなどで見たコロナで逼迫する医療現場の役に立ちたい」「ドラマの医師がかっこよかったから」などで作成された志望動機は、説得力に欠けてしまいます。どんな些細な経験でもいいので、『自分のストーリー』と『医療』に結びつけて作成した志望動機の方が、説得力はより一層強くなります。

志望動機は自分らしさを表現する絶好の場所

「医師になりたい」という情熱が自分の経験の中のどこから湧き上がってくるのかをしっかりと理解しなければ良い志望動機というのは書くことができません。

未来を見据えているかをもう一度チェックしよう

先ほどまでは、「経験をもとに志望動機を作成しよう」と強く言ってきましたが、受験者の中でもここまでできている方はいても、「その先について」の考えがまとまっていない方が多い印象です。

つまり、「どんな医師になりたいのか」「10年後・20年後の自分の未来」についてへの理解です。面接試験においても、「医師になってからの社会貢献について」を聞いてくる場合もあります。社会問題や政治問題にも目を向け、目指す医師像を作るのは、医学部入学後も役立つので志望動機作成時から考えておくことも大切です。

最後に、志望動機作成で一番重要なこと

志望動機作成の流れや重要なポイントについて今まで書いてきましたが、最後に書くポイントが志望動機作成の上で、私的には最も重要な部分だと考えています。ここを飛ばして、提出してしまうと、おそらく書類で不合格になってしまう確率が倍くらいに上がってしまううと思います。それくらい重要なポイントですので、必ず受験生の皆さんは忘れないようにしましょう。

そのポイントとは、『ピアレビューです。ぴあレビューとは、簡単にいえば、第三者に読んでもらうことを指します。

自分では伝えたいことを志望動機に詰め込んで書いたと思っていても、案外第三者の目から見ると、「何を伝えたいのかわからない」となることが多いです。志望動機を読むのも試験官であり、初めて志望動機を読む状況にある相手です。家族、友達、上司などの信頼できる人に第三者の視点で読んでもらうことによって、自分の志望動機を通して、自分という人間を試験官に伝えることができるのかをしっかりと見極めてもらうことが重要です。また同時に、志望動機を読んで質問や不明点がないかも教えてもらうことで、後の面接試験でも聞かれた時のための対策になります。もちろん、医学部学士編入合格者などで志望動機添削サービスしている方はいるので、実際に医学部に入学した学士編入の先輩に依頼するのも一つの方法だと思います。

志望動機は、作り込めば作り込むほどわからなくなることも多いですが、その作業は面接試験では必ず役に立ちますので、今腰を据えて作成し始めるのが良いかもしれませんね。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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この記事を書いた人

nana美のアバター nana美 運営者

日本の高校卒業後、単身渡米。
大学3年の時、医師を志すも、アメリカのメディカルスクールは成績不振で断念。しかし、帰国後に医学部学士編入試験を受験・合格し、現在はアラサー医学生として楽しく奮闘中。

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